兵法は、一に曰く度、ニに曰く量、三に曰く数

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現代訳


 戦時においては、次の五点が重要になってきます。


1.物差しで距離を測ること=度

2.物量を升目で量ること=量

3.兵士の数を計ること=数

4.敵と自軍とでこれらを比較すること=称

5.それによって勝算を読むこと=勝


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勝つか負けるかを冷静に分析する。


*新事業を起こしたり新しい拠点に進出するときは必須です。


 戦争においては、戦力の比較検討が、戦略において非常に重要になってきます。

 例えば、敵、味方の兵士の数や武器の性能、数量、そして、それを支える国力などです。これらを見誤ると、国の進むべき道を間違うことになります。

 太平洋戦争(第二次世界大戦)を振り返っても、アメリカと日本の工業力を含めた国力を冷静に分析し、考え合わせると、日本の勝ち目は薄いものでした。

 軍部や為政者たちがこの事実に目をつぶったことで、大いなる不幸が日本国民に押し付けられることとなったのです。

 ビジネスでも、まったく同じことがいえます。新しいビジネスを起こそうとするときや、新しい拠点に進出するときなど、必ず“勝算”を検討しなければいけません。「なんとかなるさ」などと行き当たりばったりで始めるなど愚の骨頂です。マーケティングや社員数、資金力といった「戦力」を冷静に分析することです。その上で、勝ち目があるとわかったら行動を起こします。

 起業の活動方針や営業活動の方向性を決定づけるのは、マーケット調査であり、その調査データは「作戦立案」のもとになります。

 ただし、データが間違っていたり、恣意的に歪められているようでは、正しい計画・作戦は立てられません。



*正確な調査データでなければ意味がない。

 採算を度外視した経済活動は、民間企業ではありえないことですが、公共事業では採算ばかりにとらわれていてば、国民のためになりません。しかし、世の中には、まったく不要とおもわれる公共事業が溢れかえっています。

 とくに「ハコモノ」といわれる公共事業。ほかにも、整備新幹線や地方空港、“釣り堀”と揶揄される堤防など……。


 すべてが不要で税金の無駄遣いとは言い切れませんが、疑問が多いのも事実です。

 これまでの公共事業を決定づける需要予測に、大きな見込み違いがあったことが露呈しています。この予測は、“恣意的”に作成されているという疑念もあります。

 つまり、正確な需要を予測するというより、最初から公共事業が行われるという結論があって、その必要性を強調するため、あえて需要予測を歪めているというのです。


 正確なデータを積み重ねた上で、「必要な活動なのかどうか?」「採算性がある事業なのかどうか?」を検討しなければなりません。

 このような視点から、国民は税金の使われ方に対して、もっと厳しくチェックしていきたいものです。