『孫子』を愛読していた成功者たち。

*思想は曹操や毛沢東など後の中国の支配者に確実に受け継がれた。


 『孫子』は、戦場における戦い方のみならず、『組織編成にあり方』や、『人の動かし方』などの原理・原則についても触れています。

 このため、ときを越えて、どの時代にも通用するものとなっており、長い間読み継がれてきた理由もそこにあります。歴史に名を残した多くの戦略家、軍人たちにも愛読されてきました。


 例えば、『三国志』に登場する魏(ぎ)の曹操(そうそう)も『孫子』を愛読しており、本人の手による注釈書まで残っているほどです。

 
 また、中国共産党の創始者である毛沢東も、『孫子』を愛読し、実践に役立てました。毛沢東の戦略は『孫子』からの影響を色濃く受けています。鄧小平論も同じです。



*洋の東西を問わず、愛読した思想家、指導者は数知れず……

 日本に目を移せば、戦国武将の武田信玄が、その軍勢の旗印に『孫子』から引用した“風林火山”の文言を入れていたのはよく知られている事実です。

 また、日露戦争のロシアのバルチック艦隊を撃破した東郷平八郎も、『孫子』の理論を活用し、実践に役立てました。

 『孫子』を実践に役立てた軍人は、アジアの国々だけでなく、洋の東西を問いません。


 フランスの工程だったナポレオンも愛読し、ベトナムの指導者で独立戦争を戦ったホー・チ・ミンも愛読していたといいます。


 現代でも、例えば、1990年の湾岸戦争(イラクがクウェートに侵攻したのを機に始まった戦争)を現地で指揮した、アメリカ軍のノーマン・シュワルツコフ将軍(中央軍司令官)も、『孫子』から多くのことを学びとって実践に役立てました。